里山の話
2016-08-18


午前10時、先月の「山の日」の広告企画で面識を得た広告社の社員の来訪に応対。新たな広告の企画しているので里山の活動の話を聞きたいとのこと。ざっくり話をするが組織の責任者に話をつないで終わった。只木良也の『森と人間の文化史』(NHKブックス)を読むように勧めておいた。
 かつての里山は豊かな森の恵みを得るために頻繁に入っていた。建築材、薪炭利用だけでなく、枯葉は肥料になったし、枯れ枝は薪として燃やした。何も無駄が出なかったのである。戦後、石油をふんだんに消費できる時代になると森に入らなくなり、雑木林は薪炭林としては無用になり、伐採して杉や桧を植えた。下草、間伐などの手入れを怠ると森は荒れた。
 それをかつてのアルピニストが借り受けた。ピッケルをふるった手にノコギリや鎌に持ち替えて、伐採、枝うちなどに精を出した。素人には無理ですよ、と拒否する愛知県の関係者の反対を押し切って「さなげの森づくりの会」の活動が始まったのである。
 最終的には人間に心地よい落葉広葉樹の森に復元するのだという。放置しておくと元来の森である照葉樹林に還ってしまうそうだ。だから人工的に干渉して雑木林でとどめるというのである。地味ながら知的な活動である。さてどんなことになりますやら。
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