山恋はぬわれに愉しく雪がふる
2010-04-01


現代俳句の世界16「富沢赤黄男高屋窓秋渡邊白泉集」(朝日文庫)から。名古屋市東区出身の高屋窓秋(1910-1999)作。馬酔木に所属した。昭和8年頃か。雪と題した連作の一句。
 ”山恋はぬ”という。未然形につく打消しの助動詞”ぬ”とは強い否定形である。山に行く予定は無いが都会にいて雪が降ってきたのだろう。それでいて雪が降ると愉しい、というのだ。都会に居ながらにして雪山にいる錯覚もある。
 降雪を愉しいと感じるのはまったく都会人の感覚である。雪国では雪下しの労力やお金など苦しい生活を強いられる。戦後でこそ雪を観光に役立てようとスキー場開発に走ったが近年はスキー人口が減って閉鎖が相次ぐ。
[一句鑑賞]

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