続・「黒部川上ノ廊下」の研究
2009-07-26


◎岳人721号(2007年7月号)第1特集「日本の溪スタンダード10」でP16−17に収録。本図一統氏が執筆。
・渡船は1日5回出船時間を確認する(重要:水との戦いの前にスムースな入渓が時間ロスをなくし、余裕ある遡行を可能にする)
・遡行は急流との戦いに終始する
・奥黒部ヒュッテの主人から平水より10cm水位が高いという情報を得ている(重要:山のことは山を良く知る人に聞く)
・岳人531号(1991年9月号)のブッシュ山の会の女9人で上の廊下の遡行に入る前にここで「雨も少ないので大丈夫」との情報を得て成功。
・本図パーティは下ノ黒ビンガは泳ぎで突破。口元のタル沢出合い上のゴルジュは急流に数回押し流されて左岸を巻いた。
・雨による増水のために停滞している(重要:この谷の遡行では予備日は形だけのものではない)
・4日目も増水による困難を押して進むも渓流シューズが破損。高天ヶ原にエスケープした。(重要:岩苔小谷に入り、最初の10mの滝手前の右岸から入る枝沢を登るとペンキ印があり、そこから踏み跡を辿れば高天ヶ原に出られる)
・本図氏らはアクシデントもあって完全に遡行はしていないがかえって参考にはなった。水位が高いと彼らでさえ困難だった。おまけに遡行中に雨による増水のために停滞まで余儀なくされている。計画に当っては是非織り込みたい。
・高巻となると地元の知人の話では5級のレベルのクライミング技術が要求されるとか。とにかく上へ上へと追い上げられないようにしたい。
参考:知人のY氏から寄せられたコメント
ブログの「黒部上の廊下」遡行…8月下旬から9月までが水量が少なく最適です。でも、条件が悪いと岩場五級の力が必要で大変です。
どんなルートでも○Xさんなら大丈夫!山は山を知っている人の味方です。山は逃げないので、天候を確認してゆっくりゆっくり…ですよね。
辛夷主宰であった中島杏子先生はこの周辺を全て踏破されています。流石、山岳史研究の第一人者ですね。
・岳人のバックナンバーにはこの他にもクライマーファミリーで挑んだケース、水遊び専門のパーティが沢やとは違った技術で挑んだケースなど成功例はあるがこの位にしておこう。成功の陰に隠された失敗例も多々あるに違いない。
教訓の整理をしておこう
1、渡船の時刻チエック
2、奥黒部ヒュッテで水位の確認ー水位の高低が成否を決める。高巻か泳ぐかでは時間ロスが違う。大雨、台風の直後は計画を見直す。
3、入渓前の天気情報のチエックー甘い見通しは失敗する。行けるところまで行く、といった溪ではない。引き返すにも時間がかかる。
4、体調のチエック
5、冷たい水に対応できる着衣、ライフジャケットの着用ーこれは新調しなければならない。自分は同行者よりも高齢であることを考慮すると冷たい水温に対応する力は弱いだろう。ネオプレン系の着衣が出回っているので購入したい。
6、沢での登攀技術、生活技術、装備の総点検
7、計画には予備日の設定が必須ー中高年であることを考慮するとこれまでの記録どおりには行かない気がする。登攀技術、体力、泳ぎなどどこをとっても普段から充分なトレーニングを重ねている訳ではない。
8、エスケープルートの地図上でのチエック
9、以上を勘案した緻密な計画書の作成
[本]
[沢登り]
[北アルプスの山]

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