徳山村を巡る思い出の山旅
2006-09-18


門入から奥は久々である。車のサイドが草や枝でこすれて悲鳴をあげている。構わずに行く。入谷との出会いで橋を見ると橋の上に水溜りがある。ここまでか、と待機すると軽トラが勢いよく橋を渡っていく。よし我々もと後を追う。悪路また悪路でボディがきしむ。4WDでも大きいので高さの恐怖感から途中で駐車した。まだ奥があるが軽の世界である。事実、終点には軽が5台以上は停まっていた。以前、不動山に来た際は最奥まで走れたが崖崩れのまま放置されて徒歩を余儀なくされた。長者平を過ぎるとかつての終点に近い。谷への下降地点に目印がある。これは以前と同じ。
 西谷川本流に下降。V字形の谷ゆえに深い。周囲は自然そのまま。ここでは時間が止まったかに見える。といっても悪場はない。励谷との分岐までは既知の世界である。分岐からいよいよ金ヶ丸谷に入る。渓相はいたって穏やか。清冽な流れに足を浸して溯る。時々地形図で現在地を確認するが分りにくくなる。大ヤブレ、小ヤブレといった枝谷を確認のためのポイントにした。S字地形、滝も確認ポイントになる。やがてゴルジュ、また平凡な流れ、またゴルジュと続く。凄い滝はない。大きな釜を持った滝も現れるがさほど困難さはない。ようやく抜けたと思った頃はもう4時を回っていた。テン場探しである。焚き火も楽しみたい。あれこれ相談しながらタイムリミットの5時に素晴らしいブナの樹林帯の中に一段高くなった草地に落ち着く。大急ぎで夕飯の支度で、焚き火はもう困難な時間であった。濡れたままの半乾きの着衣でツエルト内で炊飯をする。泡盛で乾杯。
 10/10の朝もゆっくり起きた。6時50分出発がやっとであった。ブナ林を探勝しながら尚遡行を続ける。やがて水が涸れて来た。笹が出て美濃らしい気分がする。低い樹林を潜り抜けると登山道に合流した。鞍部に近いところである。左折して山頂へは10分で到達できた。
 周囲は360度の大パノラマであった。まず恵那山、白山、伊吹山、荒島岳、能郷白山、金糞岳、高賀山、小津三山、近くの黒壁山、笹ヶ峰、千回沢山、不動山、蕎麦粒山、美濃俣丸、夜叉ヶ丸、三国ヶ岳、上谷山、横山岳など展望を堪能できた。Wさんが梨を出してくれた。旨かった。
 いよいよ未知の根洞谷の下降に向けて下山した。すると鞍部で登ってくる登山者に出会った。早い登頂者である。一言二言交わして分れた。先の鞍部から少し先からヤブを分けて下る。すぐに急なルンゼがでてきたので懸垂下降、30mザイルでは少し足りないので回収後はずらして下る。若干下るとまた小さな滝で割れたような岩場となっているのでザイルを出す。すぐに明らかな滝に出た。なんと人の声がする。遡行の人たちであった。我々が懸垂で下ると入れ替わるように登って行った。彼らは夜叉ヶ池の登山口から黒壁の鞍部を越えて下降して来て根洞谷の源頭を登るのであった。つまり変則的な周遊コースをとったのである。どこのクラブ?シガクカイ!えっ歯学界、私学会?と頓珍漢なやりとりでした。黄緑のヤッケのリーダーはどこかのサイトで見たことがある、と思ったらK仙人と呼ばれている達人であった。やはり!。奇遇というほかない。
 また一箇所ザイルを出した。これでようやく平らな流れになった。右から1本、2本と枝沢が合わさってくると水量も増えた。谷が広くなり、幅も広がると悪場もなくなった。
 私の目を楽しませたのはミズナラやトチの大木であった。立ち止まっては写真を撮った。周囲は自然の色濃い原生林そのままである。さぞや紅葉期は素晴らしいであろう。
 現在地の確認には枝沢の現れる度に地形図と付き合わせた。ほぼ間違いなかった。大きな枝沢が合わさると益々河原の広がる優しい川に見えたが本流に近いところではかなり深い淵もあって簡単には下れない。コモズ谷の出合以降は釣師のゴミが目立って増えた。Wさんはいたたまれなくなってゴミを拾いながら下ってきた。マナーの悪い人たちは来て欲しくないものである。

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